五臓六腑ってなんですか? 脾編

は「倉廩の官」や「後天の本」と称され、脾と胃が協調し合って飲食物の消化吸収を行い、気・血・水へと変化させ全身に輸送します。また、思考・推測・注意力・記憶などの精神活動に関与していて、思考をまとめたり順序だって物事を考えるなどしています。
唇・口・涎・肌肉など人体の組織器官や長夏(梅雨)・湿・化(変化)も脾と関連しています。

 

<脾のはたらき>

  • 運化:水穀(飲食物)を消化して、後天の精や、津液、血、営衛などを吸収して、全身に送り出す働き。
  • 昇清:運化で吸収したものを胃から上の肺へ送る働き。気血を上に昇らせたり、臓腑・器官が下がらない様に位置を固定しておく働き。
  • 統血:営気が血と共に脈中をめぐることにより、血が脈外へ漏れることを防ぐ働き。

 

<症状チェック>

  • くよくよと思い悩んでしまう
  • 食欲がなく消化不良をおこしやすい
  • 胃がチャポチャポする
  • 下痢をしやすい
  • 口内炎や口角炎ができやすい
  • 唇が荒れている
  • 顔や手の色が黄色っぽい
  • 甘い物が異常にほしくなる

 

<暮らしかた>

  • 一日三食をなるべく同じ時間に摂るようにする
  • エアコンや外気からの「冷え」を避け、お腹を冷やさないようにする
  • ストレスをためこまず、自分好みのリラックス方法を見つけ発散する
  • 定期的に身体を動かしのびやかにする
  • 甘いものと炭水化物(ご飯・麺・パンなどの主食)は控えめに、偏食はしない
  • 深夜の飲食は控える

 

<胃の特徴>

「胃は水穀の海、六腑の大源なり。五味口より胃に蔵し、以て五臓の気を養う。」「平人の常の気は胃より稟く。胃は平人の常気なり。人の胃気なきを逆という。逆するものは死す。」脾と同じく「倉廩の官」と称され、水穀の海とも呼ばれています。
つまり、胃は、脾とともに飲食物を消化吸収し、全身に送り出す源となるところです。
脾が「昇清」の働きをするのに対して、胃は糟粕(消化した飲食物)を下の小腸に渡す「降濁」の働きをします。
胃を働かせる気、そして脾胃の働きで得た後天の気を「胃気」と呼ばれ、「胃気」=「生き」につながるとし胃気の有無が、病人の予後を判断するうえで重要になっています。

胃が不調になると、上腹部痛、噫気(ゲップ)、呑酸、胸やけ、吃逆(シャックリ)などの症状が現れます。

 

 


中医学では、体内にある臓器を五臓六腑と表現しています。
お酒を飲んだ時に「五臓六腑に染みわたる!」と身体の隅々にいきわたる表現をするアレです。

五臓は精を貯蔵している実質器官のことで、肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)があり、生命活動の中枢として機能しています。後に、心包が発見されて六臓六腑となります。
六腑は中空器官のことで、胆(たん)・小腸(しょうちょう)・胃(い)・大腸(だいちょう)・膀胱(ぼうこう)・三焦(さんしょう)があり、飲食物の消化吸収と水分代謝、排泄に関与しています。

西洋医学の臓器の名前と似ていますが、中医学では、単に体内にしまわれている内臓を指すのではなく、外部組織と繋がり合う機能や構造を表す広義の意味も持っています。

体表に現われる様々な生理的・病理的な現象にはこれらの臓腑が関与しているため、それぞれの臓腑の機能がどのような状態なのか、また各臓腑間での関連を考えながら症状の原因を考えていきます。
特に、肝は胆、心は小腸、脾は胃、肺は大腸、腎は膀胱、心包は三焦と姉妹のように表裏関係を持ち、強く協力関係を持っています。